
ヤマハのキッズモトクロッサー・PW50。
パッソルのエンジン・シャフトドライブ駆動系を流用した、「ようやく自転車に乗れるようになった5~6歳の子供が初めて乗って楽しめる、煙突に通せるサイズのクリスマスプレゼントに出来るバイク」というコンセプトの元、1980年に発売されたファンバイクです。
小さいながらもパワフルで非常に楽しいバイクです。
分離給油、シャフトドライブによりメンテナンスの煩雑さがなく、気軽に乗れるのも素晴らしい。
試乗した所、チャンバーの詰まりなど複合的要因で高回転が全く吹けず。
チョークワイヤー切れやキャブのオーバーフローなども見られましたので修理していきます。

まずはチャンバー詰まりから。
色々方法はありますが焼くのが一番早く確実です。
ドン引きするほど煙が出ます、気軽に焼けるのは田舎の特権ですね。(昔若気の至りで東京でやったら3秒で通報されました)
エアーを吹き入れてやると綺麗にカーボンが燃えます。

綺麗に焼けたら耐熱塗料で塗装します。


タイヤ交換ついでにホイールも軽く塗装。

オーバーフロー、フロート面からのガス漏れがあったのでキャブレターO/H。


エアクリボックスのインシュレータ断裂、クリップ紛失があったのでこの辺りも新品に。

無くなっていたステップラバーも新品に。

エアクリ、キャブ組付け。新品は気持ちいいです。


チャンバー接続部のガスケットもダダ漏れだったので新品に。
タイヤ交換時にスパークアレスター(エンド部のパット見サイレンサーになっている部分です)が簡単に外せるようにこのような作りになっています。
基本的にプラスドライバーさえあればほぼ全バラできるような簡単な作り・ビス選定になっています。この辺りもPW50に対するヤマハの優しいコンセプトを感じます。


子供が安全に乗れるよう、PW50には2つのリミッターが付いています。
一つはスロットルの開度制限。スロットルホルダーにスクリュが付いており、物理的に開度を制限できます。殺されていたので使えるようにしました。
2つ目はパワーリダクションプレート。
排気リストリクターです。マフラーガスケットに8mm径程度のプレートがくっついており、これにより排気を制限し出力を制限します。
こちらも殺されており、入庫時には普通のガスケットが付いていました。

チャンバー清掃等済ませ調子が良くなった状態で入庫時と同じ普通のガスケットを使用し試乗した所、危険を感じるほど速くなってしまったので今回はPW50純正の絞りガスケットを少し加工して組む事にします。
リストリクター径を8mmから10.5mmに拡大。
スロットル開度を60%程度に制限。これで入庫時の「調子が悪く吹けなかったリミッターカット時」と同じくらいの速さになりました。
パッソル用ガスケットを使用することでフルパワーになります。
今後お子様の成長等に合わせ、スロットル開度制限調整やガスケット交換をして頂ければと思います。
因みにPW50の取扱説明書にて排気リストリクターの取り外しは許容されており、その際のキャブレター調整の指示もありません。MJは#70とかなり濃い番手が元々入っており、フルパワー状態でも試乗しましたが燃調が薄い症状はありませんでした。


切れていたチョークワイヤーも新品に。始動が楽になりました。
点火プラグも交換しました。

というわけで綺麗になり修理完了。
楽しく皆で遊んで頂ければと思います。ありがとうございました!